当研究室の論文が情報処理学会論文誌トランザクションデジタルプラクティスに採録されました。

◼︎書誌情報
山本裕樹, 落合桂一, 鈴木雅大, 松尾豊: LSTMモデルによる金融経済レポートの指数化, 情報処理学会論文誌トランザクションデジタルプラクティス (2022)
◼︎概要
多くの投資家にとって金融機関や中央銀行,政府から出される金融・経済レポートを読むのは骨の折れる作業である.本稿では自然言語処理を用いて,金融経済に関する文書から自動的に景況感を読み取り指数化(景気センチメント)する手法を提案する.投資家はこの指数によって,文書の全体的な景況感を即座に読み取ることが可能となる.本手法の特徴は,景気センチメントを推定するモデルに深層ニューラルネットワークの一手法であるLSTMを用いた点と,これを学習するために必要な教師データとして景気ウォッチャー調査データを用いた点にある.手法の有効性を示すために,政府の発行する月例経済報告と日本銀行が発行する金融経済月報をそれぞれ指数化して日経平均株価と比較したところ,既存の経済指標と比較して高い相関があることが確認された.本稿で提案した手法は既に実務でも応用が進み,企業や政府がSNSや地域経済レポートを指数化して公表される等の活用が為されている.

2023年Sセメスター「ディープテック起業家への招待」受講申込み開始(履修登録は東大学部1-2年生とお茶の水女子大学学生のみ、聴講は学年不問)

坂田教授・各務教授・田中准教授とともに、松尾教授が企画・監修を務める「ディープテック起業家への招待」受講申込みが本日より開始となりました。多くのエキスパート登壇に加え、最終発表は総長の前で発表、さらに優秀者はコミュニティ“DICE”への参加の他、選抜式の海外研修などの機会があります。また、初めてお茶の水女子大学との連携ともなります。多くの皆様からのチャレンジをお待ちしています!

詳細はこちらをご覧ください

https://entredu.t.u-tokyo.ac.jp/2023s/

「東京大学×Globis Capital Partners共催セミナー:ビジョナリー・スタートアップ」応募開始のお知らせ

坂田教授とともに松尾教授が企画・監修に関わるセミナー「東京大学×Globis Capital Partners共催セミナー:ビジョナリー・スタートアップ」の受講申込みが本日より開始となりました!

昨年の新規開講から話題の本セミナー、東大生・お茶の水女子大生については所属や学年問わず受講可能です。また、後日YouTubeから動画も一般公開させていただきます。詳細はこちらから!

当研究室の論文が情報処理学会論文誌に採録されました。

◼︎書誌情報
山本裕樹, 鈴木雅大, 落合桂一, 松尾豊: Bayesian Neural Newtorkによる景気テキストの不確実性評価と景気指標の開発, 情報処理学会論文誌 (2023)
◼︎概要
近年,ニュースやソーシャルメディアなどのテキストを深層学習モデルで解析して,人々の景況感を予測しようという試みが行われている.既存の研究では景気が良い/悪いといった景気の方向性に着目しているが,景気とは本来,不確かなものであり,テキストの書き手の景況感も中心の周りに広がった分布で評価すべきと考えられる.実際,テキストには景気に良い面と悪い面が併記されたり,先行きの不確実性を強調したりするなど,人間が読んでも書き手の景況感が単純に判断できないものも多い.このような書き手の景況感が不確実なテキストを除くことで,より確信的な景況感を持った意見だけを集めて景況感を評価することが可能となり,マクロな景況感の推定精度向上が期待される.本研究ではBayesian Neural Network(BNN)を用いることで景気テキストの不確実性を評価し,それを使って景況感評価の精度を高めることを提案する.実験ではまずBNNによって景気センチメント推定の精度が向上することを示した.次に,不確実性の高いサンプルを除いてセンチメントを集計することで,より精度の高い景気指標となることが確認できた.最後に,BNNで不確実性が高まるテキストの特徴やその時期について考察した.その結果,得られた不確実性と経済の不確実性指標として用いられている Economic Policy Uncertainty(EPU) 指数との統計的に有意な相関を確認できた.

当研究室の論文が電子情報通信学会和文論文誌Dに採録されました。

◼︎書誌情報
蔭山智, 鈴木雅大, 落合桂一, 松尾豊: 顔の角度情報を用いたDeepFake動画の検出手法の提案, 電子情報通信学会和文論文誌D (2023)
◼︎概要
近年,GAN や VAE のような深層学習を用いた画像生成手法により,実際には存在しない高精細な人物や風景の画像を生成することができるようになっている.またそのような画像の生成手法を応用することで,任意の画像の変換を行うこともできるようになっている.こうした技術を応用し,動画内の顔画像を変換することで,現実と区別がつかない Fake 動画(DeepFake 動画)を生成する事ができる.顔画像の操作によって生成された Fake 動画はニュースサイトやソーシャルネットワークで広がり,政治的に利用されたりポルノとして利用されることが社会的な問題となっている.そのため,ある動画が人為的に生成された FAKE 動画かどうかを検知する手法の開発は重要である.既存研究では動画内の全フレームにおいて生成が失敗していないことを前提に検知手法が提案されているが,実際の Fake 動画では顔が真横を向いているシーンでは生成に失敗している.本提案では当該事象に着目し,新たな観点である顔の角度情報の活用を提案する.本提案手法により,AUC にして最大で 3.4% の精度向上が図れた.