こんにちは、東京大学松尾・岩澤研究室です。
生成AIの進展に伴い、大規模言語モデル(LLM)は研究・産業の両面で急速に存在感を高めています。そんな中、松尾研の提供する「LLM講座」は基礎から応用までLLMの仕組みを体系的に学べるプログラムとして、多くの学生やビジネスパーソンが受講している講座です。
「LLMを本格的に学んでみたいけれど、どれくらいの難易度なのだろう」「修了すると今後のキャリアにどう役立つのかな」——そういった疑問を持つ方も多いはずです。
今回は、2024年度のLLM講座を修了し、現在は松尾研で研究員として活動しながら大阪公立大学博士課程でも研究を進める尾崎大晟さんに、LLM講座での学びとそこから得たキャリアの変化を伺いました。
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▼大規模言語モデル(LLM)2025 応用編の詳細・お申し込みはこちらから
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LLM講座受講のきっかけは?
—まずは簡単な自己紹介をお願いします。
尾崎さん
尾崎大晟と申します。2025年度の新卒として松尾研に入職し、同時に大阪公立大学の博士後期過程にも通っています。
専門としてはLLM全般で、事前学習から事後学習、エージェント化、マルチエージェント、RAG/TAG、Reasoning構築と広くやってきました。業務でもLLMの開発案件を主に担当しています。
研究ではLLMの動画/動作理解をテーマに、事業化まで目指して活動中です。主な実績としては松尾研GeniacPJTにおけるチームリーダーとしてのフルスクラッチLLM開発や、JSAIでの複数年優秀賞などがあります。

尾崎さん
—LLM講座の受講のきっかけは何だったのでしょうか?
尾崎さん
受講時点ですでに松尾研のインターン生として案件に参画はしていましたが、その中でもLLM関連のものを当時は担当していました。そのため復習と知識の整理、そしてコンペ参加をモチベーションに受講を決めました。
2024年度のLLM講座は継続事前学習や強化学習といった新しい内容が追加され、2023年度よりも大幅にボリュームアップしていた点も魅力的でした。正直「修了は難しいかもしれないな」と思いながらも挑戦しました(笑)。
—実際に受けてみて、レベル感はいかがでしたか?
尾崎さん
LLMを専門にしている自分にとってはちょうど良い内容でしたが、初学者にとってはかなりハードだと思います。もし修了できれば、大きく専門家に近づけるでしょう。同じプロジェクトで一緒にインターンをしていた学生も受講していましたが、相当苦労していたようです。
とはいえ、修了だけを目指す必要はないと思っています。「RAGはマスターしよう」「transformerの仕組みだけは理解しよう」など、自分なりのテーマを持って部分的に取り組むのも有効です。業務や研究でLLMを全く使わない人はほとんどいないと思うので、まずはぜひ受けてみてほしいですね。
面白かったのは実践的に学べるコンペ
—講座で特に面白かった内容は?
尾崎さん
やはりコンペですね。限られた計算資源の中でベースモデルを事後学習し、指定されたベンチマークで最も高いスコアを出すモデルを作るというものでした。
講義全体では事前学習を含むLLM全般を学びますが、実務では事後学習やRAGを扱う機会が多いため、事後学習の実践的な経験が得られたのは非常に価値がありました。
また、ライブラリの扱い方やメモリエラーとの格闘など、実際の開発現場に近い環境を体験できた点も大きかったです。
インプットは大変、でも毎週の課題が助けに
—逆に大変だったことはありましたか?
尾崎さん
毎週新しい知識をインプットする必要があり、分野も膨大なので、復習は大変でした。ただ、毎回課題が用意されており、それが学びを定着させる助けになりました。
コードベースのハンズオンや短答式の課題が出るので、授業中にすべて理解するのは難しいですが、復習の中で何度かコードを動かすと理解が深まります。時間をかけて向き合うことが大事ですね。
3つの実践経験を飛躍させた学びのサイクル
—講座で学んだことは、その後どのように役立ちましたか?
尾崎さん
当時、自分は共同研究インターンや研究活動、さらに経産省の支援プログラムによるプロジェクトに携わっていました。これらはいずれもLLMに関連する内容でしたが、講座を受講したことで知識を体系的に復習・整理する良い機会となりました。
偶然にも3つの活動はそれぞれ扱うテーマが異なり、基礎的な学習からエージェント構築、RAG・TAGの活用、さらにその応用まで、講座で学んだことを幅広く実践に活かせる環境が整っていました。
その結果、インターンでの活動が評価されて松尾研に入職でき、研究やプロジェクトでも受賞を含む多くの成果につなげることができました。
基礎編と応用編、それぞれのおすすめ
—LLM講座は今年から基礎編と応用編の二部構成になりましたが、どのように使い分けると良いでしょうか?
尾崎さん
LLMを学びたい多くの方にとっては、まず基礎編の受講で十分だと思います。むしろカリキュラムを見る限り、基礎編だけでもハードな内容といえるでしょう。
一方で、すでに一度受講経験がある方には「応用編のみ」あるいは「基礎編+応用編」の両方をおすすめします。特に注目したいのは、基礎編に含まれる強化学習や、応用編のTool Use・エージェント&ロボットといった、いま非常にトレンディな分野です。より高いレベルを目指す方は、両方を受講することで幅広く学べるはずです。
また、スポット受講というのも良い手段です。例えば「基礎編を通して網羅的に学びつつ、応用編のRAGやドメイン特化といった業務直結分野だけをスポットで受講する」という形も、現実的な選択肢としてありだと思います。
LLM講座の受講を迷っている人へのメッセージ
—最後に、2025年度のLLM講座受講を検討している方へメッセージをお願いします。
尾崎さん
昨今のAIの隆盛をまさに体現する内容で、受講して損はない講座だと思います。この講座をきっかけに、新しい道が開ける方も多いのではないでしょうか。
松尾研の講座は、授業を担当される先生方やTAの方々、さらにLLMコミュニティのメンバーの皆さんによる手厚いサポートが特徴です。受講中だけでなく、それ以外の場面でもつながりを得られるので、安心して挑戦できる環境が整っています。
ぜひ受講を通じて世界を広げてみてください。きっと大きな学びと成長につながるはずです。
—尾崎さん、インタビューにご協力いただきありがとうございました!
2025年度LLM講座(基礎編・応用編)の受講生を募集中
現在、2025年度LLM講座(基礎編・応用編)の受講生を募集中です。
大規模言語モデル(LLM)2025 基礎編

基礎編は、LLMについて、基礎理論から最新のモデル動向までを一気通貫で学べる実践型講座です。
LLMの全体像を理解するために、事前学習・事後学習・ベンチマーク評価といった学習パイプラインを網羅的に解説。DeepSeekなど最新の推論モデルを例に、進化する技術トレンドもキャッチアップできます。さらに、公開済みモデルやAPIを活用し、推論性能を向上させる手法についても丁寧に紹介します。
2025年度カリキュラム(基礎編)

【開催概要】
申込締切:2025年9月17日(水)
開講期間:2025年10月1日(水)~2026年11月19日(水)
開講日時:毎週水曜19:00-21:00
場所:オンライン(Zoom)
受講対象:学生(大学院生、大学生、短大生、専門学校生、高専生、高校生、中学生、社会人学生)、一部社会人
▼大規模言語モデル(LLM)2025 基礎編の詳細・お申し込みはこちらから
https://x.gd/3mytt
大規模言語モデル(LLM)2025 応用編

応用編は、LLMの社会実装に不可欠な最先端の技術を網羅的にマスターできる発展講座です。
軽量化・安全対策・解釈性・ドメイン特化・LLMエージェントなど、実運用に不可欠な観点を体系的に解説。さらに、最前線でLLMを研究開発する第一人者による特別講演を通じて、現場で起きている “いま” を体感できます。
さらに、毎年恒例となった「個人型LLM開発コンペ」もパワーアップして開催予定。受講者同士の白熱した技術競争が、学びをさらに深めます。
2025年度カリキュラム(応用編)

【開催概要】
申込締切:2025年11月19日(水)
開講期間:2025年12月3日(水)~2026年2月あたりまで
開講日時:毎週水曜19:00-21:00
場所:オンライン(Zoom)
受講対象:学生(大学院生、大学生、短大生、専門学校生、高専生、高校生、中学生、社会人学生)、一部社会人
▼大規模言語モデル(LLM)2025 応用編の詳細・お申し込みはこちらから
https://x.gd/A9RDK