当研究室の論文が電子情報通信学会和文論文誌Dに採録されました。

◼︎書誌情報
蔭山智, 鈴木雅大, 落合桂一, 松尾豊: 顔の角度情報を用いたDeepFake動画の検出手法の提案, 電子情報通信学会和文論文誌D (2023)
◼︎概要
近年,GAN や VAE のような深層学習を用いた画像生成手法により,実際には存在しない高精細な人物や風景の画像を生成することができるようになっている.またそのような画像の生成手法を応用することで,任意の画像の変換を行うこともできるようになっている.こうした技術を応用し,動画内の顔画像を変換することで,現実と区別がつかない Fake 動画(DeepFake 動画)を生成する事ができる.顔画像の操作によって生成された Fake 動画はニュースサイトやソーシャルネットワークで広がり,政治的に利用されたりポルノとして利用されることが社会的な問題となっている.そのため,ある動画が人為的に生成された FAKE 動画かどうかを検知する手法の開発は重要である.既存研究では動画内の全フレームにおいて生成が失敗していないことを前提に検知手法が提案されているが,実際の Fake 動画では顔が真横を向いているシーンでは生成に失敗している.本提案では当該事象に着目し,新たな観点である顔の角度情報の活用を提案する.本提案手法により,AUC にして最大で 3.4% の精度向上が図れた.

当研究室の論文が情報処理学会論文誌に採録されました。

◼︎書誌情報
山本裕樹, 鈴木雅大, 落合桂一, 松尾豊: 産業間の取引構造を用いた深層学習モデルによる生産指数の予測, 情報処理学会論文誌 (2022)
◼︎概要
多くの投資家にとって金融機関や中央銀行,政府から出される金融・経済レポートを読むのは骨の折れる作業である.本稿では自然言語処理を用いて,金融経済に関する文書から自動的に景況感を読み取り指数化(景気センチメント)する手法を提案する.投資家はこの指数によって,文書の全体的な景況感を即座に読み取ることが可能となる.本手法の特徴は,景気センチメントを推定するモデルに深層ニューラルネットワークの一手法であるLSTMを用いた点と,これを学習するために必要な教師データとして景気ウォッチャー調査データを用いた点にある.手法の有効性を示すために,政府の発行する月例経済報告と日本銀行が発行する金融経済月報をそれぞれ指数化して日経平均株価と比較したところ,既存の経済指標と比較して高い相関があることが確認された.本稿で提案した手法は既に実務でも応用が進み,企業や政府がSNSや地域経済レポートを指数化して公表される等の活用が為されている.