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  • 東京大学 松尾・岩澤研究室、日本科学未来館でサービスロボットの実証実験を開始

     東京大学 松尾・岩澤研究室(以下、松尾研)は、一般社団法人 AIロボット協会(AIRoA)等と共同で、サービスロボットの遠隔操作による実証実験「未来を体験! ロボット・リモートワーク」を2025年7月23日(水)から8月7日(木)まで、日本科学未来館にて実施します。

    ■ 背景

     近年、大規模言語モデル(LLM)や視覚言語モデル(VLM)の飛躍的な進化とロボティクス領域への応用により、ロボットがより汎用的なタスクに柔軟に対応できる可能性が拓かれてきています。π0(Physical Intelligence)やGR00T(NVIDIA)といった先行事例に見られるように、マルチモーダルな大規模モデルを応用したロボティクスの取り組みは、今後のロボティクス領域の技術基盤として重要な位置を占めていくと考えられています。

    こうした背景のもと、ロボットが実環境で多様なスキルを獲得し、継続的に学習・改善を重ねられるような、汎用性のある基盤モデルの構築や大規模なデータ収集は国際的に重要な研究テーマとなっています。

    本企画を通じ、多様な年齢やバックグラウンドを持つ参加者がロボットを遠隔操作することで、専門家だけでなく一般の人々にとっても直感的に使いやすい操作インターフェースを設計・改良するためのフィードバックや、ロボット自動化のための多様な制御のデータを収集することができます。

    また、参加者がロボット遠隔操作を実際に体験することで、未来のサービスロボティクスのあり方と、先端人工知能技術(基盤モデル)のロボティクス応用における研究開発プロセスを肌で感じ、理解と関心を深めてもらうことも目指します。こうした実証を重ねることで、ロボット技術が社会のインクルーシブ性を高める公共性の高いテクノロジーであることを広く訴求し、共創的な社会実装を推進します。

    ■ 取り組み内容

     本実証実験では、遠隔操作ロボットによるサービス提供と操作体験を通じて、未来のロボットサービスのあり方を体験していただきます。参加者は以下2つの体験を通じて、ロボティクスの最新技術に触れることができます。

    体験①「ロボットからのおもてなし
    東京大学のオペレータが遠隔操作するモバイルマニピュレータ HSRが、来館者へ「接客サービス」を実演。ロボットが人間と同じようなきめ細やかなサービスを提供できる可能性を体感できます。

    体験②「ロボットを動かそう」
    参加者自身が操作機器を使って、東京大学などに設置されたHSRロボットを遠隔操縦。物を掴む・運ぶなどの簡単なタスクに挑戦し、ロボットリモートワークの可能性を体感できます。

    開催情報:
    「未来を体験!ロボット・リモートワーク」

    開催日時:
    2025年7月23日(水)~8月7日(木) 10:30~16:30
    ※体験時間は30分程度です

    開催場所:
    日本科学未来館(東京都江東区青海2-3-6)
    1階 コミュニケーションロビー

    対象者:小学4年生以上
    参加費:無料
    主催:日本科学未来館、一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)、東京大学
    実証実験代表者:松嶋達也(東京大学 大学院工学系研究科 特任助教、一般社団法人AIロボット協会 CTO)

    参加方法等、詳細は日本科学未来館のWEBサイトをご覧ください。
    https://www.miraikan.jst.go.jp/events/202507234132.html

    ■ 東京大学 松尾・岩澤研究室 ロボティクス研究ユニットについて

     松尾・岩澤研究室では、実世界と相互作用する実機を通じて「知能とは何か」を解き明かすことを目指し、ロボティクス研究を積極的に推進しています。研究室には、ロボットアームやモバイルマニピュレータといった実機に加え、各種シミュレータ、VRデバイス、マルチモーダルセンサなど多様なハードウェア環境を整備し、仮想環境から実環境に至るまで幅広い検証が可能な研究インフラを構築しています。

    研究開発コミュニティとしては、学内外の学生・研究者が参加する「TRAIL(Tokyo Robotics and AI Lab)」も運用し、現在では50名規模に拡大。ロボカップでは国内大会・世界大会共に上位入賞を果たすなど、実践的な技術力とチーム力を備えた研究体制を形成しています。

    また、2025年4月より、AIとロボティクスの融合を体系的に学ぶ教育講座Physical AI講座も開講し、次世代の研究者育成と応用研究の加速にも力を入れています。これまでの研究成果はICRAをはじめとするトップ国際会議に採録されており、基礎から応用に至るまで幅広い領域で成果をあげています。

    ■ 今後について

     本実証実験で得られたフィードバックやデータセットを基に、より多様な環境に適応可能なロボット基盤モデルを構築し、家庭内・小売店舗などのサービス領域での実証を予定しています。本取り組みは、AI技術の最先端研究とロボティクスの現場知見を融合し、日本の産業におけるAIロボット導入を目指すものです。松尾・岩澤研究室では共にロボティクス研究を推進するリサーチャー・リサーチエンジニアを積極的に募集しています。詳細は下記求人をご覧ください。
    https://herp.careers/v1/weblab/crh6BsRjCxX1