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    松尾・岩澤研究室ではディープラーニングを中心に人工知能の基礎研究、応用研究を幅広く行っています。

    人工知能は約60年の歴史がある分野ですが、これまでの研究では、知能の仕組みや脳の構造についてほとんどわかっていません。もちろん脳に関しての部分的な知見はありますが、そもそもどういう仕組みによって、我々がこのような認識を持っているのか、学習できるのか、言語をしゃべれるのか、意識をもっているのかなど、謎だらけなのです。

    私たちは工学的に知能を創ることで、人間の知能という仕組みを解明したいと思っています。「知能を創る」というミッションのもと、特に、世界モデル、大規模言語モデルや意味理解、ロボティクス、脳型AIに関する研究を進めています。

    ▼参考
    松尾豊教授インタビュー(前編):シリコンバレーに並ぶエコシステムの実現に向けて
    松尾豊教授インタビュー(後編):松尾研基礎研究にかける思い
    論文:知能の2階建てアーキテクチャ

    研究領域

    本研究室では約20名の研究者(2024年7月現在)が所属しており、「知能を創る」というミッションのもと各々が研究テーマを設定しながら研究を推進しています。今後研究領域は拡大していく予定ですが、現在は「世界モデル」「学習アルゴリズム」「ロボティクス」「大規模言語モデル」「Brain -inspired Intelligence」「社会実証」の6つの研究ユニットに大きく分かれて研究をおこなっています。
    (最近の採択論文一覧はこちら

    なお、研究のみならず、世界モデルとシミュレータ寄附講座をはじめとする知識の体系化/先端人材の育成を目的とする教育活動、Weblab-10BGENIACプロジェクトなどの大規模な研究開発プロジェクトや、企業との共同研究(社会実装)に関わることもできます。

    詳細は下記スライド参照ください。
    スライド内に記載のある、岩澤准教授のインタビュー記事はこちらです。

    世界モデル

    プラーニング領域で近年急速に研究が進められている「世界モデル」は、今後の人工知能の鍵となるトピックとして注目されています。「知能を創る」というビジョンを掲げる松尾研の基礎研究チームでは、世界モデルが真の知能の実現において必要不可欠だと考えています。そのため、多様な情報源から環境の構造を捉えて、未知の環境に適応可能な世界モデルを構築することを目指し、研究を進めています。研究成果は ICLR、NeurIPS、ICMLを始めとする国際学会に数多く採択されています。
    また、世界モデル・シミュレータ寄付講座を立ち上げ、知識の体系化・人材育成と共に、世界モデルのロボティクス分野への応用・実装も進めています

    次世代ニューラルネットワーク

    現在の深層学習は、構造を事前に仮定する必要があり、特に行動を含む時系列データの抽象化・高次行動の獲得に課題があります。

    ディープラーニングの限界を突破した新しいモデルや学習アルゴリズムを開発することを目指しNeuroAI、自己教師あり学習を通じた階層的な行動の獲得、ニューラルネットワークを自己生成させていく仕組みなどの研究に取り組んでいます。

    Brain-inspired Intelligence

    現在の深層学習に基づく人工知能技術は、パターン認識や言語処理などの分野で、すでに人間に匹敵する、あるいはそれ以上の性能を示しています。しかし、これは人間の脳の持つ潜在能力のごく一部を拡張したに過ぎません。実際のところ、現状の技術は膨大なデータと計算能力を必要としています。また、言語の意味理解、自己認識/メタ認知、階層的な制御などの能力は、人間のようなレベルでは実現されていません。

    そこで、 当研究室では、急速に蓄積が進む神経科学の知見を踏まえつつ、脳の計算機能を支える情報表現、機構、アルゴリズム、アーキテクチャなどを解明する研究に取り組んでいます。特に、脳参照アーキテクチャ駆動開発という独自の手法も用いています。この研究に取り組む動機の一つは、改めて「人間とは何か」を問い直すことにあります。それと同時に、得られた知見を世界モデルやロボティクスの研究に接続させることで、実用性の高い工学技術として実現していくことを目指しています。

    ロボティクス

    実世界と相互作用する実機のロボット通じて、松尾研の目標である「知能とは何か」を解き明かすことに近付くために、ロボティクス研究を推進しています。

    ロボットアームやモバイルマニピュレータなどの実機のロボットのほか、各種シミュレータ、VR関連装置、3Dプリンタ、デプスカメラやモーションキャプチャ、触覚センサなどのセンサ類を用意しており、自分の研究開発活動の用途に合わせて組み合わせて利用できます。家庭内環境をはじめとして,ロボットの実世界検証のための専用フロアも完備。

    研究開発コミュニティとしてTRAIL (Tokyo Robot And Intelligence Lab) も運営しており、ロボカップでは国内/世界大会共に高い成果を残しています。研究成果はIROSやICRAを始めとする国際学会にも数多く採録されています。ショーケースについてはこちらをご覧ください。

    大規模言語モデル

    大規模言語モデルの登場によって、自然言語能力の飛躍的な進化が実現している一方で、ハルシネーションやバイアス対策など社会実装を加速するために不可欠な多くの課題が浮き彫りになってきました。

    また、大規模言語モデルの性能進化とは裏腹にその能力がどのように実現されているのか、知能の源泉・動作原理が正確に理解されているとは言えず、これは知能を定義し実現する上で重要な問題です。当研究室では、大規模言語モデルの動作原理の理解、挙動の制御、並びに次世代の大規模言語モデルの研究を行っています。研究のみならず、大規模言語モデルの開発、大規模学習コーパスの整備、最新技術の実装調査も推進しています。また、研究開発から得られた知見を活かした「大規模言語モデル講座」も開講し、人材育成にも取り組んでいます。研究成果はNAACLやEMNLPを始めとする国際学会にも数多く採録されています。

    社会実証

    実社会課題への基礎技術適用により新たな価値を創出し、その成果を基礎研究へ還元する社会実装を進めています。基盤モデルの飛躍的な技術的進歩に伴い、自動運転や医療、創薬、金融など、あらゆる分野での革新が期待されています。しかし、基盤モデルの訓練には大規模なデータセットが不可欠で、そのためのアノテーションコストや膨大なラベルなしデータの収集・管理は大きな障壁です。

    私たちは、能動学習や弱教師あり学習といったデータ効率学習や、ドメイン知識を効果的に取り入れた実社会での応用性を高めた手法の開発に取り組んでいます。AI for social goodの理念のもと、産学官で連携をし、実際に課題解決を目指しています。解決の過程で得られた知見や技術の限界を基礎技術に還元し、機械学習だけでなくコンピュータサイエンスやHCIに関する国際学会にも挑戦していきます。

    計算環境

    松尾研究室には、最新の計算機技術によってディープラーニング研究を促進するためのHPCチームがあります。私たちは、研究において良質なインフラが非常に重要な役割を担うと考えており、日々学生や研究者に最先端の技術を提供しています。

    一緒に研究を進めたい方はこちら

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