医療工学の分野でご活躍されているJuan Velasquez先生が12/6(金)に松尾研を訪問されました。
ベラスケス教授と松尾教授は学生の派遣や受け入れで長年にわたる関係を築いており、そうしたご縁から、何度かご講演をいただいています。
当日は松尾研の研究員や配属学生以外にも、講義受講生などオンラインの参加者含め80名近くの方が参加し、「ヘルスケアの未来に向けた人工知能の活用」というテーマで講演いただきました。
Bio: フアン・D・ベラスケス先生(チリ大学工学部 産業工学科 教授)
これまでの学術活動において、140件を超える修士・博士論文および研究報告の指導を行い、140以上の科学論文や書籍の章を執筆。
2008年にIOS Pressから出版された著書『Adaptive Web Site: A Knowledge Extraction from Web Data Approach』著者。さらに、2010年と2012年にSpringer-Verlagから出版された書籍シリーズ『Advanced Techniques in Web Intelligence』第1部および第2部の編集長を務めた。
英国オックスフォード大学コンピューティングラボラトリーでの博士研究員、日本の東京大学共同研究センターおよびチェコのオストラヴァ工科大学での客員教授を歴任しており、これまでに10カ国以上で招待講義を行っている。2009年には国際知識工学システム (KES) 会議の総会議長を、2018年にはチリのサンティアゴで開催された国際会議「Web Intelligence」の総会議長を務めた。研究分野は、医療工学におけるデータサイエンス、ウェブマイニング、知識管理に特化している。
Title: ヘルスケアの未来に向けた人工知能の活用
Abstract: 医療はこれまで、病気の治療に重点を置き、予防にはあまり重点を置かない傾向がありました。
このパラダイムは、医療専門家の教育、質の高いデータの歴史的な不足、処理能力の制限、そして学際的な連携の欠如といった要因によって形成されてきました。しかし現在、このパラダイムは、健康を維持し、病気を予防することを目的とした、より積極的なアプローチへと転換しつつあります。この革新的なビジョンは、「4P医療」という概念に体現されています。
それは、予防的 (Preventive)、参加型 (Participatory)、予測的 (Predictive)、個別化された (Personalized) 医療です。
本プレゼンテーションでは、人工知能 (AI) が医療分野をどのように革新し、4P医療の実現を可能にしているかを探ります。
具体的には、DNAシーケンシング、電子カルテ、CT画像、脳波記録、薬理学データベース、環境変数といった多様かつ複雑なデータソースを統合・解析する方法に注目します。これらのデータセットはサイズと複雑さが指数関数的に増加しており、AIは有意義な洞察を引き出し、医療結果を改善する上で欠かせない存在となっています。
さらに、AIが膨大で多様なデータを処理し、診断の精度を向上させ、疾病の早期発見や予防を可能にする実際の応用例について議論します。特に、医療従事者を支援するAI駆動の意思決定支援システムや予測モデルの具体例を紹介し、これらの技術が医療の効率を向上させるだけでなく、学際的なチームが革新的な解決策で長年の課題に取り組む力を与えることを示します。
AI、機械学習、計算リソースの進歩を活用することで、世界の健康を守るための現在および将来の課題に対応できる転換点に私たちは立っています。本講演では、医療をデータ駆動型で協力的かつ前向きな分野に変革し、命を救い、世界中で生活の質を向上させる上でAIが果たす重要な役割を強調します
Juan Velasquez先生、この度は松尾研に足をお運びいただきありがとうございました。