DLオープン勉強会開催報告

こんにちは、広報の清水です。

先日の「DL輪読会・DLHacksオープン勉強会」開催の様子をお伝えします。

DL輪読会とDLHacksは、互いの知識を深めることを目的に東京大学松尾研究室のメンバーが中心となって毎週持ち回りで発表をする勉強会です。(紹介記事はこちらから→DL輪読会DLHacks

  • 輪読会:Deep Learningに関する最新論文について発表。(毎週金曜9:00開催)
  • DLHacks:DeepLearningの実装力に焦点を当て、最新論文の実装やその他Tipsを共有。(毎週月曜19:00開催)

通常は過去授業・講座の受講者か紹介のみでしか参加できませんが、 「授業や講座に参加したことがないけれど、とても興味ある」 「一度参加したけれどその後行きそびれてしまっている」 といった方向けに2018年度で人気の高かった内容を再度発表する場を設けたいとなったことがきっかけです。

イベント参加者はCompassにて募集しました。

募集開始時より沢山の方からご応募をいただき、急遽定員を90名から140名に増枠。
場所も倍の人数が入ることのできる講義室に変更しましたが、最終的には応募者数は400名を超え、多くの方がDeep Learingを学ぶことに意欲的であることを実感しました。
開催後となってしまいましたが、抽選で洩れてしまった方にはこのブログにて心からお詫びを申し上げます。今後のイベントの参考にして参ります。

DL輪読会、DLHacksからそれぞれ2名が発表しました。

DL輪読会

鈴木 雅大 東京大学 松尾研究室 「深層生成モデルと世界モデル」

【発表内容】

鈴木さんが中心となって開発した深層生成モデルライブラリ「Pixyz」に関しての記事はこちらからご覧ください。

初谷 怜慈 株式会社DeepX 「DeepLearningと曲がったパラメータ空間」

【発表内容】

DLHacks

鈴木 航介 京都大学 工学部物理工学科 「汎用言語表現モデルBERTの内部動作」

【発表内容】

平松 淳 筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科「ニューラル固有表現抽出」

【発表内容】

参加者の声

「どれもトピックとして面白く、理論や研究よりの話からBERTなど応用よりの話まで幅広くて大変興味深かったです。」

「今まで一人で論文を読んで実装していたので、情報量が限られていたが多くの論文を知るきっかけとなった。」

「世界モデルに関して新しく学ぶことが多かったので、満足しました。文章生成に関しての発表が多く、画像生成のhackも知りたいなと思いました。」

「世界モデルの話やへシアンの話は,自分の研究室の輪読会などで話題に上ることがなかったので新鮮で面白かったです.学部3年生なのにBERTを動かしている学生がいることも驚きで刺激になりました.」

「実装のみではなく理論的な内容も盛り込まれており、地に足のついた会だったように感じた。発表者の方も、たとえ即答できない質問が飛んできても的確に回答して、非常に誠実さを感じた」

参加者の方々もPCでスライドをチェックしたり、検索で調べながら真剣に聞き入っていました。
満足度も97.8%という結果を頂き、また今後もこういった会を定期的に開催していければと思っております。
今後のイベントなどのお知らせは以下よりお受け取りください。

松尾研究室 Facebookページ 
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ご参加くださった皆さま、平日のお忙しい中ご参加いただきまして誠にありがとうございました。
次回は夏頃に開催予定です。どうぞお楽しみに!

松尾研、新人キックオフミーティング!

こんにちは、広報の清水です。

4月に入って東京大学構内では新入生のフレッシュな姿が見られ活気付いていますが、当研究室でも6名の新しい運営メンバーを迎えました。

職種はバックオフィスや事業企画など様々で、前職でも活躍されていた方ばかりなので私たちも背筋が伸びる思いです。

キックオフミーティングでは、松尾先生より「ここがおかしい松尾研」と題して日本における研究室のあり方を変えようとする当研究室の運営方針をユニークに紹介。その他にも「今後の動向」や「それぞれに期待すること」などのお話もあり、皆さん挑戦意欲に満ちた表情で聞いていました。

新しいメンバーと一緒に松尾研を盛り上げていきたいと思います。

松尾研 卒業パーティーを開催しました

桜もちらほら咲き始めた3月19日、当研究室から旅立つ卒業生・退職者8名の新しい門出を祝う卒業パーティーを開催しました。
思い出話や研究の話で盛り上がり、とても和やかでアットホームな雰囲気でした。

会の最後には、Matsuo Labとそれぞれのイニシャルが刻まれたボールペンが卒業・退職者の方へプレゼントされるサプライズも。

大手企業、スタートアップ、研究者・・・と皆進む道は異なりますが、「松尾研究室」で学んだことを活かし大きく羽ばたいてくれることを職員一同願っています。

引き続き当研究室で研究を続ける方もいますが、新しいフィールドに立つ皆さんともいつか何かのプロジェクトでまたご一緒できる機会があれば嬉しいですね!
ご卒業おめでとうございます。

【開催報告】「第2期社会人一般向け Data Science Online Course」の修了式及び懇親会

当研究室が主体となって運営する「第2期社会人一般向け Data Science Online Course」の修了式及び懇親会を行いました。
今期は900名を超える応募があった人気の講座です。
優秀生によるプレゼン発表は、他の受講生から次々に質問が飛び交い、大いに盛り上がりました!
第3期開催が決まりましたらこちらでも告知致しますので、どうぞお楽しみに。

◼︎詳細はこちらから

http://gci.t.u-tokyo.ac.jp/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BA%BA%E4%B8%80%E8%88%AC%E5%90%91%E3%81%91-data-science-online-course%E3%81%8C%E7%B5%82%E4%BA%86%E8%87%B4%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F-2/

基礎研究チームを支えるバランサーとして、外部で活躍できる研究者を増やしたい

特任研究員 岩澤 有祐

プロフィール
2012年 上智大学理工学研究科情報学領域を卒業
2014年 上智大学理工学研究科理工学専攻情報学領域を修了
2017年 東京大学工学系研究科技術経営戦略学専攻博士後期課程を修了(学術振興会特別研究員DC1)
2017年より、東京大学松尾研究室 特任研究員
◼︎研究内容
機械学習/深層学習のIoTへの応用(現在、特にプライバシー、耐故障性、消費電力などを考慮した深層学習モデル)
ウェアラブルセンサによる行動認識のための表現学習(博士)
車いすセンシングを利用した路面アクセシビリティ情報の自動収集システム(修士)

いつか死ぬなら教育に携わって死にたい

松尾研では、学生の研究指導をメインに行なっています。僕自身は松尾研に来る前は、上智大学で別の研究室に所属していたのですが、とある海外シンポジウムで松尾先生と出会ったことがきっかけで、松尾研に参加しました。以前の研究室では「障碍者支援」がメインテーマで、その中で人工知能についても研究をしていました。特に機械学習、データ分析に関する興味関心は高かったです。例えば、車椅子に取り付けたセンサーで車椅子に異常がないか把握する、など町の情報を可視化するプロジェクトを行なっていました。今でも定期的にフィードバックを行なっていて交流がありますね。

僕自身、実は研究者になりたいと思ったことは一度もなかったんです。実際、就職活動もしていたのですが、活動中に「いつか死ぬ自分のために何故頑張って就活するんだろう?」という疑問が湧いて来まして(笑)
最終的に数社から内定もいただきましたが「どうせ就職するなら人の成長に関わることがしたい」という結論に達しまして、大学教授を目指していました。前の研究室の先生も松尾先生も好きだったことも影響しているかもしれません。

「支えるマネージメント」で自走できる学生を育てる

今は7名程度(学部生、修士、研究生含めて)のチームをマネジメントしています。僕自身は、自身が手を動かして開発するというよりも開発メンバーの技術面でのサポートを中心に行なっています。あくまで研究・開発するのは学生たち、です。

特に松尾研の分野は、若い人の方がとても優秀です。ただ、経験がない。なので、基本は好きなことに向かって走らせてあげつつも、ひとりではできない部分にいち早く気がついてフォローしてあげられることを大事にしています。

日々感じているのは、伝え方・聞き方は本当に大事だなと。特にチームでは、「なるべく意見を押し付けない」「最初から結論ありきで聞かない」ということは意識してコミュニケーションをとるようにしています。おかしいと思っていることを行っている場合でも、なぜおかしいのか?を明確にした上で、アドバイスをするようにしています。

実は前の研究室の時に、自分では正しいと思って学生に指示やアドバイスを言いすぎて、うまくいかなかった時期がありまして。それで学生も僕と接するのが怖くなってしまったようで、1年くらい研究室から離れてしまったことがあります。その時の経験から、「正しい」だけではいけないと実感しました。特に松尾研は我が強いメンバーが多いので、気をつけていますね(笑)

他には本人がやる気を出せるような目標の設定や、今どういう状況にあるのかを把握することも念頭においています。
自走している人はつまずいたら自分から質問しにきますが、本当に悩んでいる人は自分からどう話して良いのかわからないんじゃないかと。研究を進めていく中で、ひとりでは乗り越えるのが精神的にキツイ時は多々あると思います。
研究会の時に報告される進行度合いや周りの声であったり、なんとなく空気で「今悩んでいるのかな?」と気がつくこともあるので、そういう時は早めにフォローに入れるように意識しています。

その成果か、最近は学生が自発的に論文を書くようになって来たのがすごく嬉しいです。松尾先生からも「岩澤さんは正則化項ですね」と言われました。要はチームの「バランサー」ですね(笑)

「神は細部に宿る」基礎研究の真髄

基礎研究においては、最後の最後に細かいところに妥協をしない、ということをポリシーにしています。

僕自身は、普段は適当な人間です。割と「どっちでもいいんじゃない」って思うことが多くて、基礎研究も大雑把に進む方向が合っていれば細かいところは気にしないのですが、最後はそうはいきません。
実は論文も最初は全然通らなかったのですが、このことに気付いて取り組み方を変えてからはガラリと結果が変わりました。やはり一度やると決めたからには最後追い込めるところは追い込む。これが研究の質をあげるポイントだと思っています。

実際、今年(2017年)に論文を一番書いたのは僕だと思っていますし、結果最難関と言われるIJCAIにも論文が通り、結果にも繋がっています。

30歳以降は自分の研究分野を持ちたい

ライフプランとしては、30歳までは基礎研究に打ち込み、以後は自分の研究分野を持ちたいという目標があります。松尾研での研究も楽しいのですが、自分自身の指向性として人と違うことをしたい、というのがありまして。
自分が直感的にいいなと感じた方向に進んでいきたいと思っています。

松尾研での今の目標は、研究生が研究室を飛び出して外の世界で活躍できるようにしていきたいと思っています。研究室内でいくら優秀と言われていても、外の世界で通用しなければ意味がないので、外へのモチベーションを上げていかねばならないと感じています。

そのためにはまず、学生の論文提出数をあげること。繰り返しますが、今は若い人の方が絶対優秀なので、若い人を伸ばすことに注力していきたいと思います。次に、論文が書ける組織体系、そして学生が自分自身で書きたいと思わせるようなコミュニケーションを意識していきたいですね。

松尾研はとても変化の激しい環境です。修士希望の半分くらいは松尾研を希望する位、ハイレベルな激戦区ですしね。毎年入ってくる学生もタイプが異なります。研究室で行うことも、日に日に変わります。

ですので、「松尾研で働く人」といった面で考えると、自分自身でやりたいことを見つけられる人、そして松尾研のミッションとリンクできる人が向いているのではないかと思います。なにせ、やることがキッチリ決まっている研究室ではないので、自分自身でやりたいことを見つけていかないと置いてけぼりにされてしまいますし、つまらないと思います。もちろん、やりたいことがある人には惜しみなく機会と助言を提供できる環境があります。

僕自身も、今までの経験から与えられるものだけでなく、若い人に追いつかれないよう負けないように戦っていくつもりです。